Copyright © Chikanari Co.,Ltd. All rights reserved.

​・運営会社 株式会社ちかなり  ・Photographer ​Syuichi Hyodo

日本ユニシス 坂井一将選手インタビュー

Friday, May 26, 2017

2017年4月、自身初の日本ランキング1位を獲得した日本ユニシスの坂井一将選手。昨今、世界で結果を残し始めている日本のバドミントン界においてファンの心配はやはり世界ランク30位以内が不在状態の男子シングルス。

 

その先頭に立つ一人が坂井選手。ここまでどうやって力をつけてきたのか、最近の試合における感想は、課題は、目標は、ジュニアへのアドバイスは、さらにはリー・チョンウェイと林丹はどっちが強い?といった質問まで、気さくにお答えいただきました。

 

※インタビュワー 兵頭秀一 

(株)ちかなり代表取締役 Baldnd編集長 東京経済大学体育会バドミントン部総監督 

 

 

 

 

兵頭「日本ランク1位おめでとうございます。」

 

坂井「ありがとうございます。」

 

兵頭「初めての1位ですね。感想はいかがですか。」

 

坂井「嬉しいことは嬉しいですが、全日本総合をまだ一度も取っていないので少し複雑な気持ちです。やはり今年は全日本総合優勝してその上で日本ランキング1位になれたらまた違う喜びがあるのかなと思います。」

 

兵頭「S/Jリーグは今回、5試合に出場して全勝。そして全英選手権もベスト8。非常に活躍されている感じでした。ところがそのあと3月~4月にかけて3週連続で開催されたスーパーシリーズのインド、マレーシア、シンガポールは苦戦しました。」

 

坂井「(記録を見ながら)試合数少ないですよね(笑)。」

 

 

 

兵頭「特にシンガポールオープンはどうしちゃったんでしょう。スコアを見たら1ゲーム目に15点くらい連取されてます。怪我でもしているのかと思いました。」

 

坂井「その相手は前々週のインドオープンで対戦して(勝って)いる相手なのですが、相手が向かってくる気持ちが強かったです。また、シンガポールオープンでは風が強くて途中コントロールができない部分がありました。そして集中力が切れてしまったというのが敗因ですかね。自分自身は初めての3週連続のスーパーシーリーズだったので、だんだんと集中力が切れてくるのは感じていました。今まで自分の経験では、スーパーシリーズは2週連続というのがMAXだったのですが、3週連続となるとコンディション調整などというところにもっと重点を置かないといけないですね。今のところスーパーシリーズが3週連続で開催されるのは一年に一回ですが、来年になるともっと3週連続開催が増えてくるかも知れません。3週連続で開催された場合の3週目になった時にいいパフォーマンスが出せるかどうかは大事だと思いました。」
   
兵頭「TOPレベルでは優勝と1回戦負けは紙一重なところもあるのかもしれませんね。コンディション的には1週目のインドが一番良かったということでしょうか。」

 

坂井「そうですね。インドが一番よかったかと思います。」

 

兵頭「海外遠征が3週続くと移動だけでも大変ですよね。」


坂井「そうですね。移動した次の日には予選が始まっちゃうので(笑)。まぁ、そこもひとつ(ランキングをあげて)予選スタートから抜け出したいというポイントの要素でもありますね。」

 

兵頭「インド、マレーシア、シンガポールと続くこのシリーズ。宿泊所や食事などの環境はインドが一番厳しいと聞きます。環境面はどうでしたか。」

 

坂井「インドでは自分で自炊します。外にはまったく出ません。体育館とホテルの行き来だけですね。リフレッシュすることは、まずできないですね(笑)。」
   
兵頭「また、遠征先で試合に、早めに負けてしまうと練習不足になるとも聞きます。練習量的にはどうなんですか。」

 

坂井「練習量的にはサブ体育館がメイン体育館と隣接していれば割とできるのですが、試合会場と練習会場が離れた場所にあると、練習は少なくなりますね。勝ち残っている日本選手を応援もしますので。インドオープンは隣にサブ体育館があったので練習量は確保できました。また3大会ともホテルにジムがついてました。ですので練習環境は良かったのではないかと思います。」

 

兵頭「全英はベスト8。第2シードのデンマークのヨルゲンセン選手を下しています。ヨルゲンセン選手に対して強いですね。(常に世界のTOP10にいるこの強豪に)通算で3勝1敗ですね。」

 

坂井「そうですね(笑)。」

 

兵頭「なにか自分に対して苦手意識があるのかなとか、感じてますか。プレースタイル的に相性が良いとか。」

 

坂井「なんですかね~(笑)。ヨルゲンセン選手はリー・チョンウェイ選手とかリン・ダン選手とやってるときは、凄いラリーをしたり長い試合になるイメージがあるのですが、自分との試合は凄い単発で決まるか、ミスるかという試合の印象が強いので(笑)。長い試合にしようという気持ちで挑みました。」

 

兵頭「過去の試合で良くも悪くも記憶に残る試合はありますか?(トーナメントソフトウェア.comから)。国際大会の実績も豊富ですね。強豪国のTOPクラスの選手にもずいぶん勝ってますし。スーパーシリーズ優勝経験者にもいくつか勝っています。」
   
坂井「今年に入って5大会出て、全英がベスト8っていうのはひとついい結果ではあったのですが、結局5大会のうち1つの大会しかビッグポイントが取れませんでした。そういう面でみると安定感が課題になってくるのかなと思います。下位や同等のランキングの選手に安定して勝てれば自動的にトップ16、トップ10が見えてくるのではないかと思います。5回に1回ベスト8に入れるなら、それを3回にしていき、最終的には5回中全部ベスト8に入ればトップ10入りができます。安定感を増すことがこれからの課題かと思っています。」
   
兵頭「トップどころを切り崩すということで避けて通れない課題は対リン・ダン、リー・チョンウェイ、チェン・ロンですね。」

 

坂井「リン・ダン選手は過去は2回対戦して2回ともファイナルまで持っていけましたがリー・チョンウェイ選手は全部0-2で負けました。チェン・ロン選手との対戦はまだないですね。今月行われるアジア選手権の1試合目はリー・チョンウェイ選手なのでまずは1ゲーム先取してまた次に繋げたいです。勝てれば本当に自信になるのですが。」

 

兵頭「対戦経験者である坂井選手の目から見たときにリン・ダン選手とリー・チョンウェイ選手の他の選手との違いは何でしょうか。」

 

坂井「対戦してもそうですが観客席で見ていてもディフェンス面がすごいと思いますね。力があり一発のある選手はざらにいます。しかしそういう選手に対しあえて打たせてとる。相手の決め球をしっかりとって相手にプレッシャーを与える場面を作っている気がします。自分は彼らに対しディフェンス面が劣っているのではないかと感じています。ですから今は重点的にディフェンス強化の練習をやっています。」

 

兵頭「リー・チョンウェイ選手とリン・ダン選手はどっちが強いと思いますか。」

 

坂井「私はリー・チョンウェイ選手のほうが殺しにくるというか(笑)、リン・ダン選手はちょっと遊んでくれて、少し点数を取らせてくれます。そこから自分のペースにもっていくところの突破口は見えてくるのですが、リー・チョンウェイ選手の場合はスピードも速いですし自分が無理に攻めるとディフェンスもいいので」

 

兵頭「そうですよね。リン・ダン選手みたいなゲームの落とし方しませんよね。リー・チョンウェイ選手は。」

 

坂井「そうですね。最初から100%で来るので(笑)」

 

兵頭「中国期待の若手、シー・ユーチー選手には私が取材に行った2016年11月の香港で坂井選手が勝ちました。しかし今年2017年の全英選手権の準々決勝では残念ながらリベンジされました。なにか変化や進化を感じましたか。」

 

坂井「そうですね。香港の時はスマッシュを打ってきたのですが、今回はあまり打って来ないでラリーをしてくる印象を受けました。全英では自分もここまで4試合戦ってきて、5試合目で少しちょっとフィジカル面でも・・・、疲労は残っていたのかと思います。」

 

兵頭「大会での疲労はじわじわと来るものなんですか。それとも、どれかの試合で極端にダメージを受けたりするものですか。」

 

坂井「うーん、まずは火曜日に行われる予選2試合というのが(ランクが下位の)私たちの中でキーポイントになるんですね。」

 

兵頭「なるほど。予選と言ってもスーパーシリーズですから弱い相手もいないし、全力を尽くさなくてはならないですもんね。」

 

坂井「まずはそこを勝たないとポイントにもならないし、火曜日の予選1試合目は大事にいって、しかしそこでファイナルをしてしまうとダメージも来ますから(笑)。1試合目も2-0で行けたら2試合目もいい形でいけますので。」

 

 

 

兵頭「坂井さんの技術やフィジカルなどここ数年で進化を感じる点はありますか。」

 

坂井「そうですね。やはり今年3月の全英オープンが進化が見られたのかなと。スーパーシリーズを回り始めてなかなか勝てない時期が続いていたので、ディフェンス面を少しづつ強化してきたことが現れたのかと思います。ですが、まだ波があるので安定感をもっと追及しないと上には行けないと思います。コンスタントに勝てる選手になりたいです。」

 

兵頭「練習でテーマをもって取り組んでいるところはありますか。」

 

坂井「ディフェンスでいうと、ロビング、クリアなど後ろに打つ球をタイミングをずらすことだったり、きっちりコースに入れること、高さを調節することなどですね。相手によって変化ができるようになったらもっともっと安定感も増すと思います。」

 

兵頭「何か具体的な目標設定はしてますか。例えば、世界ランクだったり何かの大会だったり。ことしの世界選手権出場は難しいですかね。」

 

坂井「たぶん難しいと思うので(苦笑)。まあ世界選手権は一つの目標にはしてたのですが、先日のシンガポールオープンでの敗退でたぶんもうだめだと思ったので。次はやっぱりランキングを上げるというのが一つキーになると思います。コンスタントに本戦1回戦突破をしてベスト8にすすみつつ、シード選手に時には勝って大物食いして(笑)。またベスト4だったりと、こういうビッグポイントを取りに行けたら自動的に世界選手権出場につながったりするので。その先にはオリンピックというものも見えてくるのかなと思います。」

 

兵頭「団体戦の話ですが所属の日本ユニシスでは出場機会に恵まれていますが、代表ではなかなかチャンスに恵まれないようです。」

 

坂井「今年行われるスディルマン杯(国別対抗男女混合団体戦)ではメンバーに入れなかったですが、来年はトマス杯(国別対抗男女別の団体戦)があります。トマス杯はシングルスが3つあり、シングルスは大事になってきます。」

 

兵頭「代表内での団体戦メンバーの決まり方ですが、私たちに見えない代表内のゲーム練習があってその中の勝ち負けで決まるのですか。」

 

坂井「そうですね。」

 

兵頭「私たちから見えるところでは坂井選手は日本ランク1位だし、S/Jリーグでは今年西本拳太選手に勝ってますし。スディルマン杯の男子シングルスはなぜ坂井選手ではないのだろうと。こういうところはファンも気になるところですよね。」

 

坂井「どうなんですかね~私が思うに全英ベスト8っていう結果はありますけど安定感がない分団体戦では出しづらいのかなと感じます。」

 

兵頭「しかし、今年のS/Jリーグで5試合出場されたのは日本ユニシス内では上田拓馬選手より評価されてるという証かと思います。しかし代表ではその評価が逆転しているように見えるのですが。」

 

 

 

坂井「まあ、代表の朴ヘッドコーチが求めているのと、日本ユニシスの坂本監督が求めているものはちょっと違うのかなと思います。坂本監督はどちらかというと私は団体戦に強いと思ってくれているみたいなので。すごい使ってもらえてますけど(笑)。やはり朴さんの場合は安定して勝たないと意味がないのかなと。」

 

兵頭「直接朴さんに言われていることはあるんですか。」

 

坂井「いや、無いですけどそういうイメージなのかなと思ってます。」

 

兵頭「代表のコーチの中西さんには課題的なことは言われていますか」

 

坂井「ディフェンス面を強化して得意の攻撃に繋げるパターンを増やそうと言われてます。ずっと攻め続けるのも体力がいりますし、なかなかしんどい思うので。どこかで一回相手の強打を取ったりとか守りから攻撃に繋げるところを強化しようと話してます。」

 

 

 

 

兵頭「話は変わりますが、どうして坂井さんはここまで登り詰めてこれたのか。例えば、こういうところを頑張ったからだとかありますか。高校生の時のインターハイはシングルスで8か16でしたよね。」

 

坂井「16ですね。」

 

兵頭「それでも日本ランク1位になれてA代表に入れた坂井選手の実績は、それはそれで多くの若い子たちに希望を与えられると思うんですよね。インターハイを優勝するようなエリート選手達だけじゃなくてもここまで来れるんだということですよね。」

 

坂井「私は全中もインターハイもトップには行ってないです。」

 

兵頭「のびたな~って思ったのは何歳くらいですか。」

 

坂井「高校卒業してインドネシアに行った時ですかね。ほんとにバドミントンに打ち込んで毎日1日練習して。」

 

兵頭「インドネシアには何年間行ってたのですか。」

 

坂井「3年間ですね。まぁ、ずっと行ってた訳ではなく、途中で何度か日本には帰ってきて国内の試合にでたり。インドネシアで練習してきたことを日本で試しに帰って来てました。そしてまた、課題を持ち帰ってインドネシアに戻って練習してる感じでした。」

 

兵頭「その間、インドネシアには1年間のうちにどのくらい行ってたんですか。」

 

坂井「半分くらいですかね。」

 

兵頭「それは誰かがそういうステージを用意してくれたということですか。」

 

坂井「そうです。高校を卒業して、金沢学院クラブにカレル・マイナキーコーチがいたのでその繋がりでインドネシアにという話を頂いて、そこで私もやってみようと決心しました。」

 

兵頭「経済的なこととか、収入とかはどうされてたんですか。」

 

坂井「それは全部金沢学院クラブが持ってくれてました。そこで自分のバドミントンの視野が広がったと思います。」

 

兵頭「金沢学院クラブが投資してくれてプロのようなバドミントン漬けの環境を用意してくれたということですね。」

 

坂井「そうですね。日本に帰って来て3年目の全日本社会人で結果がでて、21歳の時に日本ユニシスに入社する機会を得ました。日本ユニシスに入ったこと、そこもターニングポイントになりますね。日本ユニシスに入って日本のトップ選手と羽を打って、金沢学院クラブの時とは質が違うなと思いました。これまでは練習を量でカバーしてきた分、質を求められるのでなかなか当時は勝てなったですね。でも、やるしかないし、色々考えながらでしたね。」

 

兵頭「インドネシアでは丸1日練習してたのですか。」

 

坂井「はい。午前3時間・午後3時間ですね。」

 

兵頭「内容的にはどんな練習を。」

 

坂井「ノック、2対1だったり、暑い中をランニングしたり、ダッシュしたりでしたけど。とてもハードで、考えただけであの頃に戻りたいとは思わないですね。もう一回やるか?と言われても絶対やりたくないです(笑)。」 

 

兵頭「インドネシアで練習時間以外の時間は何をして過ごしてたのですか。」

 

坂井「練習後はチームメイトと食事へいったりして、少しずつ言葉も覚えました。今、世界を回っていてインドネシアのナショナルチームの子たちとかと話したりできることでバドミントンだけじゃなくて色々なコミュニケーションが取れるので、自分にプラスになっているのだと感じてますね。また、インドネシアとマレーシアの言葉が一緒なのでマレーシアの選手とのコミュニケーションも取れます。だからインドネシアに行ってよかったかなと思いますね。」

 

 

兵頭「最後に高校生以下のシングルスプレーヤーでの成功を目指す子たちに何かメッセージありますか。」

 

坂井「私はもうその頃はひたすら練習やってたので。この人に勝ちたいと思って練習をやることですかね。」

 

兵頭「選手としてのゴールは考えていますか。東京オリンピックは区切りなのでしょうか。」

 

坂井「東京オリンピックまでは、とは一応考えてはいますが」

 

兵頭「その先もあり得ると」

 

坂井「あり得たりもするでしょうね(笑)。まだちょっとわからないですけど。」

 

兵頭「具体的にいうと世界ランク1桁とか目指しますか」

 

坂井「そうですね~、ん~(笑)。」

 

兵頭:「ファンも坂井選手には期待しています。ぜひ頑張ってください。お忙しいところありがとうございました。」

 


 

Share on Facebook
Share on Twitter
Please reload

Recent Posts

Saturday, October 28, 2017

Please reload